もてね!?(甘詰留太、白泉社)

さて、「もてね!?」である。以前「エロ漫画時代に比べてパワーが少ない。惜しい」と偉そうな事を書いてしまったA・浪漫・我慢こと甘詰留太の最新刊である。すみませんとても面白かったです。大きな十字架を背負った健気な女の子を助けるという、少年ものの王道が見事に描かれている。しかももちろんエロい。そしてハッピーエンド。いう事なしです。

一見、とても一介の男子高校生である主人公には解決できそうに無いくらい根の深い問題をヒロインは抱えていて、しかも彼女は「仕方ないから放っておいて」という態度でいつも笑っていると。でも心の底では助けてほしいと思っているので主人公に何かと構う訳ですよ。そして主人公ははじめ、幼馴染という余りにも近すぎる関係なので躊躇していたものの、親友たちからの励ましで何とか助けようと動き出す、というわけですよ。熱い！まじ熱い。北海道弁で言う所の、なんまらあっついですよ。TMNETWORKの「selfcontrol」の世界ですよ。

「全てを許す 消えそうな横顔 窓越しに映って せつなく手を振ってる」に「このままサヨナラをする訳にはいかない」ですよ。そうですTMN大好きかつ、懐メロ番組に出てくるTMNは大嫌いですよ。本気出せ。

こういった王道の物語に感情移入できるだけ、主人公の野球部在籍経験や、親友に托した野球の夢、分かり合える友人と言った訴求してくる素材を丁寧に描いている。どうしようもない宿命を持つヒロインを助ける、というのは「年上ノ彼女」でも描かれているんだけど、より丁寧に、かつこなれていて素晴しいです。やはり才能ある人だなあ。是非メジャー誌で頑張って欲しい。そして「エロ漫画界には凄い奴は沢山いる」ということを知らしめて欲しいなあと思った。エロ漫画界には縁はないけどお世話になったかつオナニーするつもりが思わず読み込んで感動したことがあるので(恐ろしい事をカミングアウトしてしまった)。