ブレイク-エイジ(馬頭ちーめい, STUDIOねむ、エンターブレイン)
というわけでブレイク-エイジである。高校時代の漫画貸し借りブームで、同じクラスのO君から借りたのがきっかけで知った漫画である。ジャンプ、マガジン、サンデーといったメジャー雑誌と姉や妹が持っていた少女漫画、床屋に置いてあるビッグコミックに代表される大人漫画しか知らなかった僕のそれまでの漫画遍歴では、絶対に知り得なかった作品である。残念ながらアスキーの漫画はよっぽどマニアじゃないと高校時代は手に取らないと思う。漫画は貸し借りしてナンボだと、強く思った次第である。
あとこの漫画自体もいまや手に入り難い。自分は古本屋でセットで売っていたのを衝動買いしたものである。
僕はこの漫画がとても好きである。なぜなら、理系男子の心の琴線に触れる世界、ストーリーだからである。あと女の子が可愛い*1。
以下、物語とその背景について概略を書く。
近未来の日本ではゲームセンターに設置されたISDN回線*2を介して、自分でカスタマイズしたロボット「バーチャル・パペット」(以下V.P)で対戦をするネットゲーム「デンジャー・プラネット」(以下D.P)が大流行している。この物語はD.Pを軸に展開していく。D.Pは、ゲーマーなら「カスタマイズとネット対戦ができるバーチャロン」と書けばわかるであろう*3。
主人公は高専生の少年で、当然D.Pにハマっている。自作のV.Pを持っており、腕に覚えのあるゲーマーである。近所のゲーセンでは敵うものなしである。
ある日見知らぬV.Pにボロ負けする。パイロットを一目見ようと、接続先である隣町のゲーセンへ赴く。そこで出会ったパイロットは、女子高へ通う美少女だった。ここから物語が始まる。
恋、友情、モラトリアムと溌剌さが半々の高専生活、ゲームメーカーでのバイト、ゲーム開発者の夢や悲しみ、力を合わせて乗り越える強敵、近未来、合体ロボ。ゲームが大好きな高校生男子の憧れが、沢山詰まっている。ライトノベルによくあるカタルシスと言ったらそれまでだが、読んでいて気持ちが良い物は素直に受け入れたい。良作だと思う。
単行本の巻末には、「FOR OUR FUTURE CHILDREN」と書かれている。子供が抱くビデオゲームへの夢、憧れがこの作品では上手く描かれている。「大きくなったらゲームを作る人になるんだ」という、漠然とした憧れを持った子供を誘(いざな)う作品である。初めてゲームに触れたときの感動を思い出させてくれる。
既にD.Pのようなゲームは実現されつつあるが、いつまでも子供が夢を持ってゲームで遊ぶ環境であって欲しい。僕の基本はやはり子供時代に出会ったゲームなのである。ブランキー・ジェット・シティの歌で言うところの、「俺の血はそいつでできてる」のである。そういう感激を思い出し、維持するのに必要な作品である。