部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

エマ(森薫、エンターブレイン)

エマ (6) (Beam comix)


大分、市民権を得てきたようだが、いわゆる「メイドさん」がいますわな。黒い服を着て白いレースのエプロンを着ている女の子。家政婦のはずなのに何故かミニスカートだったり、二人称はもちろん「ご主人様」で。萌えー。

萌えー、は良いけど、何で「メイドさん」はみんな同じキャラなんだ。そうじゃなきゃいけないのか。アメリカのポルノの「car wash」*1と同じで、違うものは許されないのだろうか。


話が逸れたが、「エマ」である。メイドの恋物語である。エマは「メイドさん」だが、本当の意味でのメイド(家政婦)である。舞台は19世紀のイギリスで、産業革命によって階級社会に変化が起き始める頃である。でもメイドと金持ちのボンボンとの恋は、許されない。でもエマとウィリアムは恋に落ちてしまう。


本当にまっとうな、メイドと実業家の青年との恋物語である。身分を気にしてエマは身を引く。やけになってウィリアムは親が決めた婚約者に求婚してしまう。そして偶然、別れたはずのエマと会ってしまう。あああああー。正統な少女漫画の展開ですよ。


そしてエマはかわいい。可愛いが萌えーとかで言われる「メイドさん」ではない。メイドのエマは可愛い。そして作者はイギリス好きでメイド好き(断じて「メイドさん」ではないのは作者ホームページを見てもわかる)である。メイド萌えなのである。そして作者は女性である。メイドへの愛というのは深いのである。記号化された「メイドさん」には限界がある。もっと想像力の翼を広げて飛び立って欲しい。2兆円市場なんか商社に食い潰されてすぐに廃れてしまうよ。


また話が逸れた。19世紀イギリスの風俗、文化についての描写も細かい。居酒屋の様子、貴族の社交界の様子、晩餐会の様子、ロンドン駅で花を売る貧しい少女が、恋物語という本筋を彩る。ロンドンの恋物語なのだと気付かせてくれる。

メイドの中でも階級があり、職種によって制服が違う事にも言及する辺り、作者は本当にイギリス(とメイド)が好きなのだと感じる。メイドさん萌えーと安易に言う前に読むべきである。この本はメイド好きを19世紀に案内してくれる素敵漫画である。6巻が楽しみだ。

*1:ブロンドの姉ちゃんが、ホットパンツを穿いて、大きいカーブラシで、庭においてある自動車を洗う、というシチュエーション。アメリカでは物凄く需要があるらしい。日本で言ったら制服物のようなものか