誰も寝てはならぬ(サライネス,講談社)
- 作者: サライネス
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/22
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (44件) を見る
というわけで、モーニングつながりで「誰も寝てはならぬ」である。サライネス、あるいはサラ・イイネスである。生活臭があふれ、かつ洒脱で素敵な関西人を書かせたらこの人に敵う者無しである。大阪豆ゴハンは全巻復刊したのだろうか。
東京は赤坂にあるデザイン事務所「オフィス寺」の、社長であるゴロちゃんと専属デザイナーであるハルキちゃんが主人公である。二人は高校時代からの友人である。二人とも関西出身なので、日常会話は関西弁である。この二人が繰り広げる恋愛やら仕事の話が、独特ののんびりとした空気で描かれていて読んでいて楽しいのである。
また、登場する人物がみんな、上等だとか、上質だとか、あるいはお金持ち、といった共通項を持つ人生を送っているのがなんとなくうらやましい。たとえばオフィス寺に勤めていて、ゴロちゃんとハルキちゃんの友人であるところのヤーマダ君は銀座に昔から住んでいて、家の屋上に鶏を飼っている。なんかお金持ちっぽい(しかし本人は非常に貧乏臭い)。ハルキちゃんの家も祖父が有名な日本画家だし、なんか裕福っぽい(しかし本人はそんなに裕福な訳ではない)。
上記の3名の共通の知人である、音楽事務所の社長であるヨリちゃんは、独身でバリバリ働くお姉様であり素敵である(コテコテの関西人だが)。また、ゴロちゃんとハルキちゃんの、憧れの女性であるところの亜美さんは銀座の画廊の娘で、立居振舞に上質さを感じさせる素敵な年上の女性である。*1
こういう物言いは貧乏人が僻んでいる様だが、とにかく、この漫画の登場人物たちは、北海道の一地方都市で細々営む八百屋の息子である自分には、なんとも都会の上等な暮らしをしている人達と映る。*2
ただし金満なお金持ちのような嫌味はない。むしろ、おもろい関西のお兄さん、お姉さん達が東京でクリエイティブな仕事をマイペースでしながら恋愛したりする様が読んでいて非常に心地よい。東京で大人であるからにはこんな感じの生活できたら最高ではなかろうか。
2005年現在、モーニングで一番楽しみな漫画である。*3
*1:こういう登場人物設定を考えられるだけで、作者は天才だと思うのですがどうでしょう。
*2:バイトのマキオちゃんにはシンパシーを感じる。あと、バイトのねねちゃんや、気象予報士のオカちゃんもかなり素敵人である
*3:「刑事が一匹」とか「ブラックジャックによろしく」みたいないかにもメディアミックス狙っている漫画と共存しているからこそモーニングは素晴らしい。あとアフタヌーンも