部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

3.3.7ビョーシ!!(久保ミツロウ、講談社)

3.3.7ビョーシ!! 1 (少年マガジンコミックス)

3.3.7ビョーシ!! 1 (少年マガジンコミックス)

というわけで「3.3.7ビョーシ!!」である。週刊少年マガジンに連載されていた、新宿のホストクラブで働く高校生の青春ストーリーである。新宿、歌舞伎町、ホストクラブ、キャバクラ、ドラッグ、刺青、警視庁24時、というキーワードが欠かせない漫画だが、中身は真っ当な、元気な少年が少女と出会い、仲間と一緒に頑張る青春ストーリーなのである。この設定が素晴らしいと思う。あと、女の子がかわいい。あと、各話の題名に、イースタンユース*1ムーンライダーズの曲名*2と同じものが結構あるのも素敵である。僕の好きなバンド二つもヒットしたのであるからして。あと、ナンバーガール*3そうだなー。

主人公の高校生男子である福田新一(通称、フク)は、北関東の高校で応援団をしている熱血少年だが、受験を控えて進路に悩んでいた高校三年生の夏休みに、悪友にそそのかれて新宿に遊びに行く事になる。そこで歌舞伎町のボッタクリバーに引っかかって困ったところを高校時代の尊敬するウメ先輩に偶然出会い、助けてもらう。そして、応援団時代に憧れたウメ先輩は、新宿のNo.1ホストになっていた事を知る。それから、華僑の末娘のマオさんや、ホストクラブのウメさんの同僚のハイドさん、中村くん、キャバクラで知り合ったのぶ代、といった仲間と出会い、恋愛したり冒険したりするのである。

前半の熱血高校生が進路に悩むところから心を掴まれたのだが、それが新宿歌舞伎町という、熱血とか友情、努力、勝利という少年漫画(雑誌は違うが)のスローガンに程遠いと思われる街で暮らす事になる展開が見事だと思った。歌舞伎町のイメージから言って、少年漫画の物語は難しいと普通は思うのだが、見事に友情、努力、勝利する。この物語を作ったのは見事だと思う。

悪い奴にさらわれたのぶ代を助けにフクが行き、ぼろぼろになりながら何とか助けて一緒に星を見るシーンなんか最高である。のぶ代が可愛いんだこれが。ヒーローが冒険に首を突っ込み、勝ち取ったロマンスとしては最高の結果だと思う。

だが一番いいのは、女の子がかわいいことである。いや、本当にかわいいと思います。なぜかわいいと思うのかを考えるほどに。
絵がかわいい(そして時折エロイ)のはもちろんなのだが、女の子のセリフ、服装、アクセサリーのセンスが女の人のセンスで描かれているので、現実にいる女性との共通点を沢山見つけられる。楽な書き方をすると、リアリティーがあるという奴である。

特に、20代後半から30歳を超えた女性の描き方に、リアリティー、そして愛が感じられる。
テレビのレポーターであるユッキーが、やらせ番組の司会を終えた後にこぼす愚痴、フクやのぶ代が通う予備校の古文講師である柴山先生が自宅で語る独白は、自分で言った事があるか、友達から直接聞いたことが無いと描けない気がする。警察キャリアのナカシマさんはファンタジーとしても、妙齢の女性の描き方が真に迫り、そして適度にデフォルメされていて、可愛い。女性がきれい(可愛いよりきれいといった方が女性には良いらしい)なのである。萌え系でも少女漫画系でもないが、きれいなのである。

新宿の描き方も細かい。駅前の様子や、歌舞伎町を実際に歩いたときに感じる独特の雰囲気が伝わってくる。「あー確かに黒人の兄ちゃんとか話しかけてくるよなー」とか「ホスト沢山いるよなー」とか。

というか、女性の服装の描写も細かい。そしてセンスが他のマガジン連載漫画に比べて明らかに良い。今、現在の新宿を良く見たり歩いているからだと思われる。

単行本に載っている作者自画像はヒゲ面の兄ちゃんなのだが、調べると実は女性だそうである。細かな女性の表現や描写も納得できる。イースタンユースムーンライダーズナンバガが好きな女性。うーんいまどき(こんな表現しかできないとは)。「コータローまかりとおる!」の作者には絶対に出せない、小道具のセンスの良さである*4


ウメ先輩の背中に彫られている刺青にまつわる、壮大な物語が展開し、最後には謎が明かされる。新宿を舞台にした裏社会の話も出てくる。しかし繰り返すが、これは、元気な少年が少女と出会い、仲間と一緒に頑張る青春ストーリーなのである。「ボーイ・ミーツガール」なのである。そんな大好きなタイプの物語で、女の子が可愛くて、いまどきな雰囲気が漂う世界観とくれば、これはおすすめ漫画であると断言したいわけですよ。

それにしても思うが、この漫画は、マガジンを毎週ちゃんと読んでいないと決して出会えなかったと思う。予備知識なく本屋で手に取ったどうか。新しい漫画との出会いは、やはり漫画雑誌を読まないと増えない。ネットでの口コミや書店のPOPだけでは限界がある。そろそろ、購読雑誌を増やそうか。

*1:「夜明け前」とか「雨曝しなら濡れるがいいさ」とか

*2:「とにかくここがパラダイス」とか「今すぐ君をぶっとばせ」とか。この選曲が出来るということは、この人は本当にファンだ

*3:「TATOOあり」とか

*4:コータローまかりとおる!」は大好きです