部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

でろでろ(押切蓮介、講談社)

というわけで「でろでろ」である。ヤンキー高校生である耳雄がお化けや妖怪と遭遇してすったもんだするほのぼのホラー漫画である。

幽霊、お化け、妖怪の類が日常生活の中に突然現れる、という漫画は沢山あるのだが、この漫画がちょっと違うのは、大概の場合に耳雄がお化けや妖怪をぶっとばして解決する点である。普通はお化けや幽霊は恐怖の対象で、逃げたり退治する漫画が多いと思う。しかしこの漫画はちょっと違う。

例えば、「今私あなたの家の前にいるの」と携帯電話をかけながら近づいて来て、「いまあなたの目の前に居るの」と電話して襲い掛かってくる幽霊の話(小学校の時の怪談のノリである)の場合、耳雄は落とし穴に幽霊を落とし上からツバを飛ばして攻撃する。捕まえた幽霊から話を聞いてみると、間違い電話で違う人を襲っていた、ということがわかり、「テメーをケータイ解約の刑に処す」と告げて、幽霊と一緒に携帯SHOPにいって無理やり解約させる。泣きながら書類を書かされている幽霊という図が面白い。

お化け漫画だが、基本的にはハッピーなお話が多い。とにかく耳雄が幽霊を殴り倒したりバックドロップをかけたりガンつけて泣かせて解決する毎回のパターンが楽しい。耳雄が実は妹と飼っている犬思いの良いお兄ちゃんなのも良い。
なお、この作者のもう一つの作品

カイキドロップ

カイキドロップ


には、工業高校を卒業して漫画家を志すまでの、一歩間違えばニートだった作者の、鬱屈した思いが綴られていてこちらも面白い。作品を寄せている知人にも作者と同様の鬱屈さがあって、「駄目な感じの東京住まい・実家暮らし」がみられる。この人は漫画家になって本当によかったなあ、と親戚のおじさんのような気持ちでしみじみ思った。