部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

おいピータン!!(伊藤理佐、講談社)

おいピータン!!(8) (ワイドKC キス)

という訳で「おいピータン!!」である。本屋に行くと「おすすめ!」と書いたPOPが付いているのを結構見かけていたのだが、中身が連想できないのと、作者が「あたしンち」の人と同じであったため手が伸びないでいた。*1
しかし今回帰省した際、妹が買っていたので読んだら大変面白かったので書くことにした。20代後半〜30代女性の恋愛応援漫画といった趣の作品である。

だいたい数ページの一話完結形式だが、いろいろな女性が彼氏とつきあったり振られたり、惚れ直したり、実家のお母さんに怒られたりお母さんに感心したり、仕事*2に悩んだり同僚に恋したりするのが、東京で働くサラリーマンとしては大変共感した。
雲の上のキスケさんを読んだ時と似た感想を持ったが、「おいピータン!!」の方が絵がかわいらしいのとエピソードが重くない分、読みやすい感じがする。土日にアニメで放映されている「あたしンち」の絵柄を想像していただければ。
そして、この漫画で特筆したいのは、大森さんと渡辺さんカップルである。この作品は一話完結の話がたくさん入っているのだが、同じ登場人物が何回か出てくる。大森さんと渡辺さんはその中の一例だが、非常に読んでいて微笑ましいカップルである。それぞれの特徴を書くと、

  • 大森さん・・・30代男、眼鏡、デブ、毛深い、腹出てる、部屋汚い、お酒好き、料理好き、デザイン関係の会社に勤務
  • 渡辺さん・・・20代後半女性、眼鏡、美人、お酒好き、料理好き、大森さんと同じ会社に勤務


という感じである。とりあえず、大森さんはもてない30男の代表といった感じなのだが、渡辺さんと付き合ってるし実は美人の元カノがいたりする。

なんでもてるかというと、女性が困ったときに的確なアドバイスをするし、女性への気配り、思いやりがあり、なおかついざというときやる男(仕事、プライベート両方)だからである。でも結構内気なので渡辺さんと慎ましく恋愛している。これは、凄く、良い。キスケさんと眉子にはなれそうにないが大森さんと渡辺さんみたいなカップルにはなりたい。

なんか、作者の理想の男性像が大森さんなのではないかと思ったりする。「男は顔じゃなくハート」と、女性へアドバイスし、なおかつ顔に自信のない男性を励ましている気がする。だからなんか賞*3をとったのであろう。普通に面白いですよこれ。

ただし、大森さんは男から見たら、居そうで実は居ないファンタジーであると思う。現実に、「大森さん」はたくさんいる。僕の会社にも合唱団にもいる。美形ではないが素敵な男性が。しかし、そうそう渡辺さんのような素敵な女性と出会えたりしないものである。「普通はそういう人でも、とりあえずなんかかんか付き合った経験あるでしょ」という前提のキャラクターが大森さんだが、今まで女性と付き合ったことがない「大森さん」には、そのようなチャンスは、ない。無いのである。そういう男性は本田透の「電波男」という本か、堀口大学の「噴水」という詩を胸に抱いてゲームボーイアドバンスや競馬やパチスロにロマンを託すしかないのである。ブルースが生まれてしまいそうである。

でもかなり面白いですよ。恋愛難民の男性がヒント貰えそうな。いろいろ考えれるし普通に面白いし、かなりおすすめです。僕持っていないけど。

*1:違いました。申し訳ありません。

*2:登場人物のほとんどが仕事をしている女性である

*3:講談社漫画賞だそうです