ボーイズ・オン・ザ・ラン(花沢健吾、小学館)
- 作者: 花沢健吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/11/30
- メディア: コミック
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かなり久しぶりですが、漫画日記です。買いましたよ「ボーイズ・オン・ザ・ラン」。今連載している作品で買ったのは、他に「アイシールド21」くらいのものです。他は既に連載終わっているものばかりなので。
作者の花沢健吾は、この作品の前にスピリッツにて「ルサンチマン」という漫画を描いていました。
- 作者: 花沢健吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/03/30
- メディア: コミック
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これがまた、彼女いない暦=年齢の30代男性(ハゲおよびデブ)が、ネットゲームという仮想世界で女の子と仲良くしようと頑張る、みっともないが真摯で悲しい姿を描いた漫画で、大層面白かった*1のですが、惜しくも打ち切られたため壮大な伏線が不完全に消化して終わってしまっています(それでもかなり面白いですが)。
その後、スピリッツで新連載として開始したのが、この「ボーイズ・オン・ザ・ラン」です。スピリッツ読んでいないし、まだ連載が終わっていないので購入を控えていたのですが、昨日仕事でむしゃくしゃした結果、敢行した漫画一気買いツアーにて新宿ルミネ2のブックファーストで2巻を見つけ、帯に寄せられた文章の熱さと寄稿者の一覧が凄まじかった(小島秀夫、山本英夫、きらたかし、古泉智浩、大西祥平等)ので思わず買ってしまいました。そして読みました。買って正解だー。面白いです。
大学卒業後に玩具の会社に就職した、26歳の青年が主人公です。仕事は営業ですが上手く行っておらずピンチな状態でやる気を無くしています。会社に気になる女の子がいて少し仲良くなりますが決め手にかけています。そんな彼が繰り広げる、若さとあきらめが交差する20代男子に贈る応援歌。おすすめ!
・・・みたいな、いかにもスピリッツやモーニング、あるいはフジテレビのドラマで企画されそうな内容なので普通だったら買わないです。だって、上の説明だけで、
なんだかんだあって試練を乗り越えて仕事は軌道に乗り、彼女とも一山トラブルが起こりライバルも登場するが彼女を振り向かせ幸せになる。
仕事もなぜか大成功する。
みたいな展開が手に取るようではありませんか。もちろんイケメンのライバルや綺麗で大人な女性といった脇役も登場するわけですよ。ありがちー。
しかし、そこは「ルサンチマン」で「無職で童貞で天涯孤独の30代男が現実を捨ててネットゲームにのめりこんで死ぬ」様を見事に描いた花沢健吾ですので、普段もてる事など決してない僕のようなボンクラ(それこそ、伊集院光のラジオ、コサキンのラジオを聞いている層)に訴求するものがあるわけです。
たとえば、主人公は会社の気になるあの子と仲良くしたいですが勇気が無いので接近できませんが性欲は溜まるのでとりあえずテレクラに行きます。そこで知り合った女性とセックスしようとしますができず、逆に責められ「レイプされた」と言いがかりを付けられながら街中を追いかけられます。最低なエピソードです。
あるいは、ヤクザにとある理由で因縁をつけられ、気になるあの子の前でボコボコに殴られます。しかし恐ろしくて何もできず震えて謝るだけです(悪くないのに)。たぶん僕もそうなるでしょう。あと電車の中でイヤホンからの音量がうるさい強面の兄ちゃんにも当然注意はできません。とりあえずヒーローの資格は無いように思えます*2。
それがですね(以下力説)、そこから謎のボクシング少女が登場したり、気になるあの子と、それでも仲良くなり接近できるのですが物凄いバカな理由で振られたり、その気になるあの子に正体不明の男の影が現れたり、殴られた後とりあえず鍛えようと思って川原をランニングしたけどあまりの走れなさに愕然としたりと、もう、たまらんのですよ。20〜30代の男性としては、
ほどよいリアリティ
- 新宿、秋葉原といった都会の描写が細かい
- 主人公のみっともなさが同年代としてリアル
とファンタジー
- かわいい女の子が自分に好意持つ
- トラブルに多数巻き込まれる
のバランスが程よく、炭酸きつめのサイダーのような味わいがあります。CCレモンではなく、往年のスプライトといった感じです。これは面白いです。
「大卒で就職」とか「東京で生活している」とか「とりあえずセックスした事はある」とか「とりあえずオタクではない」といった、最大公約数を確保した内輪ネタは嫌いなのですが、これは許容範囲です。今後が楽しみですわー。
それでは。
補足
いきなり文面がですます調になりましたが、試行錯誤しておりますのでまたかわるかもしれないです。