仮面ライダーSPIRITS(原作:石ノ森章太郎、作画:村枝賢一、講談社)
仮面ライダーSPIRITS(1) (マガジンZKC (0054))
- 作者: 村枝賢一,石ノ森章太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/04/20
- メディア: コミック
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と言うわけで「仮面ライダーSPIRITS」です。先日の日記で書いた、最近買った漫画リストには全く載っていません。かなり前から買って持っていたのを、先日部屋の中から発見したので書こうと思った次第です。そんな適当な方針の日記なのです。
さて、題名どおり仮面ライダーの漫画です。ウルトラマン、宇宙刑事シリーズと共に、日本の特撮ヒーローの代名詞であるあの仮面ライダーを、村枝賢一がリメイクした作品ですが、これがまた、「ヒーローとはどういう存在か」という事を改めて考えさせてくれる作品です。ライダー1号とライダー2号の登場シーンを読んで文字通り泣きましたよ僕は。
ストーリーを進める狂言回しである滝和也が、ニューヨークで起こった怪死事件を追うところから物語が始まります。かつては仮面ライダーとともにショッカーと戦った滝ですが、今はFBIで仕事を干されている状態です。それでも正義のために怪しい事件を追いかけています。とりあえずヒーローは不在で、人々は仮面ライダーが「世界の平和を守るため」に戦っていた事を忘れています。
ある日、滝の知り合いの子供に異変が起きます。かつての仮面ライダーと同様に、悪の組織に改造人間にされてしまったのです。人を襲い始める子供だった怪人を警察は射殺しようとしますが滝が立ちはだかり、「仮面ライダー」というヒーローがかつていた事、そして彼は困難に対して決して諦めなかった事を諭しますが怪人は泣きながら逃げます。悪の組織の非道さに怒る滝は単身組織に乗り込みますが力及ばず捕まってしまいます。この世に正義の味方はいないのか、と絶望しかけたその瞬間、
サイクロン号に跨って本郷猛登場ですよ!そしてライダー変身ですよ!!まさにヒーローの正しい登場の仕方です。これには泣いてしまいました。本当に困った人がいる前に現れる正義の味方、仮面ライダーはそういう存在です。暑苦しいほどに正義の味方なのです。それが現代に現れるのです。これはたまりません。
ライダー2号の登場も素晴らしいです。カンボジアでの内戦によって家族を亡くした子供たちの前に現れたライダー2号によって、笑顔を忘れていた子供たちの眼が輝きます。そう、ヒーローとは子供の夢、憬れなのです。この描写にも参りました。
キン肉マンの主題歌の一節に「心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ」とあるように、僕の世代はヒーローとは正義の味方、悪には負けない、諦めずに戦う事、弱いものを助ける、憬れの対象として、特撮ヒーローを見てきました。「仮面ライダーSPIRITS」は僕たちのヒーローと再会させてくれた素晴らしい作品です。
なお、描写の細かさも凄いです。歴代ライダーの設定はそのまんま出てきます(ストロンガーとタックルのエピソードも出てきます)。立花レーシングのおやっさんも出てきます。また、現在の物語の中心は仮面ライダーゼクロスです。ゼクロスはテレビで一回だけ出てきたことのあるかなりレアな仮面ライダーです。これを膨らませるあたり、作者である村枝賢一の仮面ライダーへの愛はかなりのものだと思われます。特撮好きの男の子だった人は是非!とりあえず一巻の1号と2号のエピソードだけでも読んで欲しいです。また巻末の仮面ライダーTVシリーズ関係者へのインタビューも資料として素晴らしいです。大野剣友会を紹介する記事など素晴らしいと思います。連載はまだ続いていますので今後も楽しみです。