部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

デコトラの夜(原作:菅野彰、作画:山田睦月、新書館)

デコトラの夜 (1) (ウィングス・コミックス)

デコトラの夜 (1) (ウィングス・コミックス)


デコトラの夜 (2) (ウィングス・コミックス)

デコトラの夜 (2) (ウィングス・コミックス)

本屋を見ていたら山田睦月の漫画が出ていて、且つ2巻で完結していたので買ってしまいました。
北海道に住んでいたころはウィングスという雑誌は読んだ事無いし、新書館から出ている漫画は、妹が友達から借りて来た「ドラゴン騎士団」しか読んだ事はありませんでした(ドラゴン騎士団 (24) (ウィングス・コミックス))。
「ドラゴン騎士団」はまた、高校の文科系部活に所属している女子がいかにも好みそうな(実際、好まれていたようですが)ファンタジーものの漫画なのですがそれは置いておきます。

で、山田睦月の漫画です。府中まんが館で「ミッドナイト・ロンリー・モンスター (ウィングス・コミックス文庫)」と「ペーパームーン (ウィングス・コミックス)」を見つけて、CDで言うところのジャケ買い(見た目の良さを理由に買う事)をして読んでみたところ大変面白かったので、注目していたのです。「デコトラの夜」と同じ原作者と描いた「恋愛映画のように、は (ウィングス・コミックス)」も買いました。

この作者の漫画の良いところは、まず絵が清潔で上手い事、出てくる子供が可愛いこと、そしてお話や取り上げる題材の上品さ、です。映画俳優、ブロードウェイ俳優、バイオリニスト、ピアニストといった登場人物の洒脱さは素敵ですし、それでいて心温まる話が真面目に語られます。派手さは無いけど綺麗で誠実な、真っ当な印象を受けます。こういう漫画は応援したいです。

と言うわけで「デコトラの夜」なのですが、信金で働く無味乾燥な人生を送って来た祐一が、集金先で出会ったトラック運転手のタイヨーと一緒に、デコトラで旅をする話なのですが、これは、映画で言うとロードムービーというやつでしょうか。旅をしながら成長していく様を描く、という。

タイヨーは過去の辛い体験(これがまた非常に重い。詳しくは読んでいただきたい)から、覚せい剤の売人を片っ端からぶん殴って覚せい剤を捨てて廻っています。祐一はたまたま売人をタイヨーがぶん殴っているところに居合わせてしまい、成行きで警察や売買組織から追われる身となってしまうのですが、電話で職場に事情を説明しても、誰一人として祐一の話を信じて聞いてくれません。曰く「何を考えているのかわからない」「いつか何かやると思っていた」「おとなしい人こそ一番危ない」・・・。そこで祐一は初めて、自分はどうやって生きてきたのか、なんのために生きているのかと考えてしまうのです。

最終的には祐一とタイヨーがともに成長して生きていく、という話ですが、ほろ苦さががちょうど良い按配で素敵です。またお約束のように二人とも美男子なのも女性作者ならではの何らかの意図(しかし拒絶するほどではない)を感じさせます。

あと、後日談が全二巻うち三分の一ほどあり、祐一の妻である美晴が出てきますがこれがまた面白かったです。特に美晴の豹変ぶりが。本編ではおとなしい無口な妻という事だったのに・・・。あと祐一と美晴の子供も出てきます。やはり可愛いです。この人は0歳〜10歳位の子供描くのが上手いです。子育て経験ありなのかしら。

結論としては、全く知らない漫画を読んでみたい人にお勧めの作品です。この作者の漫画ならほかのもお勧めですけどねー。本屋や漫画喫茶で見つけたら手にとって見てはいかがでしょう。

それでは。