ストーリー(戸田誠二、宙出版)
- 作者: 戸田誠二
- 出版社/メーカー: 宙出版
- 発売日: 2004/12
- メディア: コミック
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戸田誠二といえば、WEBで漫画を公表していたのがきっかけで漫画家デビューしたという事で有名な人(戸田誠二公式サイト)ですが、これは「生きるススメ」と「しあわせ」に続く、戸田誠二にとって3冊目の単行本です。たまたま買ったこの本が、サラリーマンやら核家族やら高校生といった都市生活者の描写が真に迫って非常に素晴しかったため、次の日に「生きるススメ」と「しあわせ」と「化けの皮」、さらに「唄う骨」と、出ている単行本を全て買ったものです。仕事に疲れてビール呷りながら読んだら*1泣ける感じの作品です。
特に表紙の主人公の物語がよろしかったです。結婚して数年の30代のサラリーマンですが、妻との仲もよく、職場(会社では主任である)の仲間や部下とも仲良くやっています。職場は部長が立ち上げた新事業をする部署で、大変忙しいため毎日残業続きで奥さんも心配しています。ある日、部下が胃潰瘍で倒れてお見舞いに行きます。そして・・・。
という感じの物語ですが、オチは正直言って納得行かないのですがとりあえず過労で死にかけているサラリーマンの描写が素晴しいです。僕もそうなんですが、自ら追い込むんですよ過労のサラリーマンは。あと喫煙室で和むのも会社でありがちで良いです。上司が慰労のために飲み会催したら、参加した後会社戻って仕事するのもありがちで良いです(良くないですが)。
というようにサラリーマンや賃貸アパート、マンションで暮らす核家族といった、都市生活の主役たる人たちの描写が素晴しく身につまされるため大変面白く読めました。この人なら21世紀の「人間交差点」が描けるかもしれません。
と思ったのですが、「化けの皮」に収録されているアイヌやら古代朝鮮やらのお話を読んだら「あれ?」と思ってしまいました。他の作品で見たことある構図が使われているような気がするのです。セックスしたり仕事で悩んだり女の人が慟哭したり、同じパターンが多いように見えます。お前は何様だと言われるのを覚悟で表現すると「表現の幅が狭い」です。良い話だけどそれで終わり、というように見えます。それでは「人間交差点」は描けません。女を愛するあまり殺してしまう陶芸家の話とか描けませんよ*2。
今、「説得ゲーム」という新刊が出ていますが、上記の理由で手が出ていません。都市生活者の悲哀と希望の物語だけなら「生きるススメ」と「しあわせ」と、この「ストーリー」で十分だからです。もっと他の要素を期待した「化けの皮」は正直イマイチでした*3。さて今度の本はどうなんでしょう。買ってみたいがとりあえずジュンク堂行って手に取ってみたいです。今後に期待って感じです。本当に何様、という文章ですが以上です。
- 作者: 戸田誠二
- 出版社/メーカー: 宙出版
- 発売日: 2006/07/11
- メディア: コミック
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それでは。