部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

少年探偵事件ノート

少年探偵事件ノート (フォア文庫)

少年探偵事件ノート (フォア文庫)

というわけで少年探偵事件ノートです。小学校5年生の時、顔面神経麻痺という顔半分が引きつるという病気にかかって入院した時に、お見舞いにきてくれた同級生の女の子とお母さんがくれたものを今も持っています。Kさんは元気かしら。今年の正月に実家に帰った際見つけたので東京に持って来ました。久々に読んでやっぱり面白いなあと思いました。

このお話の主人公は、小学校5年生の男の子である小西タケシです。偶然が重なって空き巣逮捕に協力したおかげで新聞に少年探偵として載ってしまったのがきっかけで、同級生や中学生から探偵の依頼が舞い込むようになったタケシが事件を解決していく一話完結形式の短編集です。いまならライトノベルというジャンルになるのかも知れません。

小学生の探偵なので殺人事件とか怪盗を追うといった壮大な事件ではありません。

  • 教室においてあったクラス全員の作文が盗まれた
  • 幼馴染の女の子の家に届く新聞が無くなった
  • 雨の日限定で駐車場の茶色い車にいたずら書きがされる
  • 現像を頼んでいた写真が他人に持っていかれたが次の日郵便受けに入っていた

というような事件です。北村薫の「空飛ぶ馬」などの人の死なない推理小説を彷彿とさせます(砂田弘のほうが北村薫よりキャリア長いでしょうけど)。

タケシは算数のテストは苦手ですが、目や耳が良く、勉強以外なら物知りで勘も鋭い男の子です。探偵には向いているようで、上記のような様々な事件の真相を突き止めます。が、必ずしも依頼人に真相を告げません。ハードボイルド探偵みたいで素敵です。

たとえば上記の茶色い車へのいたずら書き事件では、お姉さんが被害にあったクラスメートから、ファミコンソフトの「ドラゴンバスター」を貸す(おお魅力的だ)という成功報酬を提示され張り切り、犯人を突き止めます。犯人は隣町の小学校に通う5年生の女の子でした。雨の日に茶色い車にひき逃げされたという辛い過去があり、いたずらをしていたのです。タケシは犯人を告発せず、二度としないように伝えてさります(その後いたずらは発生しなくなります)。「ドラゴンバスター」は遊びたいけど、依頼人には「お手上げだよ」といってみる訳です。格好いいです。

何気ない事件の真相に思わぬ重い現実が現れ、読後になんともいえない感慨があります。フォア文庫は子供向けの文庫ですが、これは大人が読んでも楽しめると思います。エーリッヒ・ケストナーとか岩波少年文庫が好きな方なら楽しめるのではないでしょうか。

ちなみに同じ作者が書いた「少女探偵事件ファイル」という本もあります。

ではー。