ツレがうつになりまして。(細川貂々、幻冬舎)
- 作者: 細川貂々
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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本日、中野のまんだらけにて購入してきました。漫画好きなら新品買えよという心の声も聞こえてくるのですが、「漫画を古本屋に売る人から引き取った」と言うことにしておきます。
さて、それはさておき「ツレがうつになりまして。」です。鬱病になってしまった夫を妻が漫画にしたノンフィクションのエッセイ漫画です。登場人物は「てんさん」(妻)と「ツレさん」(夫)です。
この漫画を知ったきっかけは、有名な漫画評論サイトである紙屋研究所の紙屋さんの評論を読んだからです。自分も鬱気味になったことがあるので興味を持ち、読んでみようと思ったのです。
技術系会社のカスタマーサポート担当が仕事(これだけで辛さが滲み出てくるなあと思ってしまいます)のツレさんが鬱病になってしまい、てんさんは励ましたり時にはいらついて八つ当たりしてしまったりしますが、ずっと側にいてツレさんを支えています。なんかとってもいい夫婦だなあと思いました。
絵柄はとても柔らかい可愛い絵柄ですが、書いている事はとても重いものもあります。
たとえばツレさんの症状が重いときにたまたまてんさんの機嫌が良くなくてツレさんを怒鳴ってしまってツレさんが風呂場で首つり自殺を図っている時にてんさんはPCで友達にツレさんの態度についての愚痴メールを打っていた、というエピソードが紹介されていますが、これはその場にいたらしゃれにならない修羅場でしょう。苦難を乗り越えて来たからこそ書けているのだと思います。
症状が軽くなった現在のツレさんが書いたエッセイも掲載されていますが、その中の一編「結婚10年目の同窓会」は読んでいて心を動かされました。結婚式をキリスト教式で挙げた人は、「病めるときも健やかなるときも・・・」という宣誓をしますが、その意味を改めて考えさせられました。
僕も今の仕事の中で鬱気味になったり、さらに悪化して鬱病になる可能性は大いにあると思っています。そのときに支えてくれる人がいる事のありがたさとか、逆に相手がなってしまったら助ける事ができるかとか考えました。常に可能性はあるんだと思って生きなくては、と思いました。
いやーしかしこう書きましたがこんな事は全部紙屋研究所で言及され尽くしていますがな。まいったなもう。
せめて優れた評論サイトに触発されて良い漫画に出会ったことだけでも記しておきたいと思います。
ではー。