トキワブルーに憧れて(WEB漫画、TEPPEI MAKI WEBより、牧鉄兵)
と言うわけで「トキワブルーに憧れて」です。前回の日記は何だったのか。秋の空のようにきまぐれなのです。
マンガ家で映像関係の仕事もしているアーティストの牧鉄兵さんのWEBサイト、「TEPPEI MAKI WEB」
http://www.chokusen.com/
にて公開されているWEB漫画です。たまたま検索で見つけたこちらで知り、シビレたので紹介した次第です。
ゲーム会社でグラフィックの仕事をする傍ら、自分のイラストを描きためて、いつかは世に出る準備をしている平銘太(たいら めいた)が主人公です。ゲーム会社の同僚には伊藤ガビン、タナカカツキといった実在のアーティストがいます。おそらく、牧鉄兵さん本人の体験談から構成されているお話なのだと推測されます。
あらすじは以下のようなものです。
ある日伊藤ガビンが持ち込んだ、イラストを描く仕事に銘太は取り組みます。テーマは「太陽の光で穴を掘るロボット」。フィギュア化も視野に入れたシンプルなものが望ましいとの事なので、銘太含めたグラフィックのメンバー(おそらく『ガビン組』とでも言うべき仲間達なのでしょう)でそれぞれ考えてくることにしました。銘太はとりあえず案を一晩考え、朝までかかって数体のアイデアを作ります。
そして次の日にガビンさんに案を見せようとする前に、タナカカツキが一晩で100体のアイデアを描いてきた事を知り打ちのめされます。
ゲーム会社のグラフィック担当というクリエイティブな職場から戻ると、古くて汚いアパートの一室でコツコツと漫画を描く銘太の姿は、明らかに藤子不二雄Aの名作「まんが道」を意識しています。絵柄も水木しげる成分とA成分が混ざった感じです。
一読して僕は興奮しました。クリエイティブな仕事を選んでやり遂げることの大変さ、とそれを乗り越えていく課程が、本人の心理状態を絡めてとても真に迫ってくるからです。
一晩で100体描いてきたタナカカツキに対抗して、銘太も100体描こうとしますが、途中でアイデアは枯渇してしまいます。悶々と苦しみますが、ここからが勝負と銘太は描き続けます。ここがこの漫画の一番いいところです。なにがしかの志を持つ人にとってこの過程はとても大事なのではないかと思います。
苦難を乗り越えてアイデアを出した銘太は、どうやったら100体も一晩で描けるのか(物理的にも時間が足らないはず)不思議でならず、タナカカツキに質問をします。その答えは・・・。
あとは実際に読んでみて欲しいです。なんかもう、自分の志した世界で頑張っている最中の人の気持ちになれて、とてもすがすがしい気分になります。あの放っておいているゲーム作りへの志とか、プログラムやってみようという学生や新人の時に決意してそれだけの青い感情が思い出されてきます。
数多ある2chまとめサイトで定期的にあがってくる「おすすめWEB漫画特集」にはほとんど挙がりませんが、これはおすすめ。アックスで今すぐにでも連載されてもおかしくないような気がします。うるし部とか西岡兄妹の漫画とか一緒に掲載されても違和感がありませんので、是非やってみて欲しいものです。
牧鉄兵さん自身は最近は漫画を描いていないようですが是非続きが読みたい作品です。ここを見て絵柄にピンと来た人は、読むことを強くおすすめします。無料だし。
ではー。