部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

ケータイ小説を初めて読みました

 「ケータイ小説」というものが、最近話題になっているようです。携帯電話から読める小説ですが、執筆も携帯電話から行うようで、携帯電話を良く利用する若い女性に支持されている、らしいです。


今までまったく興味が無かったのですが、今日ネットを巡回していたら瀬戸内寂聴がケータイ小説を書いたというニュースを見つけました。「野いちご」というケータイ小説の紹介サイトにて公開されていますが、著者名は「ぱーぷる」題名は「あしたの虹」です。
一見若い女の子のようなプロフィール紹介瀬戸内寂聴が書いたんだなあと思いながら読むと面白いです。
肝心の小説の方ですが、りぼん、少女コミックに載っている少女漫画に使えそうな、劇的な恋愛物語となっております。主人公が今時の女子高生ですが、バイト先が鰻屋だったり、恋人の趣味が水墨画だったりと小道具が和風で年季を感じさせます。激しい恋愛あり、どんでん返しがあり、最後には家族愛を説く見事な作品となっております。作者が瀬戸内寂聴だとは最近まで公開されていなかったらしいので、予備知識無くこれを読めた人は幸せだなあと思いました。なお、読者とのやりとりを感想ノートというコーナーで読む事が出来ます。


さらに日本ケータイ小説大賞というものがあるそうで、その第3回大賞作品「あたし彼女」が公開されていたので読んでみました。
男にモテるギャルが主人公の恋愛物語で、序盤は過激な表現(男が勝手に好きになってくれるとか妊娠は面倒だから二回流産したとか)があって辟易しましたが、読み進めるうちに段々面白くなってきました。

電車男」や「痴漢男」、「暇だから、過去の家族話でも聞いてくれないか」といった2ch系読み物、古くは「絶望の世界」のようなネット上の読み物、一連のWEB漫画(一括りにするのもアレですが)のようなカタルシスがあり、結構面白く読めました。

また、一度に出す情報は小さめ、序盤は淡々、後半盛り上がりを見せる手法は小池田マヤみずしな孝之のような*14コマストーリー漫画と似ているなあと思いました。

巷ではケータイ小説は「小説としての体を成していない」など評判が悪いようですが、この作品に限って言えばそんなに悪くないと思います。

「読みづらい」という声に応えて「現代語訳」した方もいるようですが、要約だけ読んでも読んだことにはならないと思うので個人的にはどうかと思うのですが、この方が別の記事で「あたし彼女」は小説ではなく「マンガ」なんですよと言っているのにはなるほどと思いました。僕も読んだ後、ネット上にあふれるアマチュアの方が書いたWEB漫画を読んだ時と同じ感慨を持ったからです。

別に「あたし彼女」が古今東西の名作文学と肩を並べる名作だと言うつもりはさらさらありませんが、だからといって必要以上にけなす必要も無いように思われます。ていうか評価もされないWEB漫画の方がかわいそう、みたいな。

作者の言葉を見ても、この作品含めて大体のケータイ小説はケータイをいじる若者に向けて書かれているようですし、批評をしている人に向けて書かれていないように思えます。だから、ねえ、別に良いじゃん。

ではー。

*1:ここに入る漫画家名はたかの宗美ひらのあゆでも良いと思います。ただし私が未読なのです