謎(構成・作画:高野文子、原作:ウォルター・デ・ラ・メア(柴田元幸訳に基づく))
「モンキービジネス」という雑誌のVol.9から高野文子の新連載が始まる、というニュースを見つけたので、どういう雑誌かも知らずにとりあえず購入しました。
高野文子、4月から文芸誌モンキービジネスで新連載
http://natalie.mu/comic/news/26528
モンキービジネス 2010 Spring vol.9 翻訳増量号
- 作者: 柴田元幸
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2010/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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漫画と言うよりは挿絵と文章が半分ずつの絵物語と言えばいいのかなあとか思いましたが、とにかく高野文子の新作です。
7人の子供がおばあさんの家に出かけて、家にあるナラの木の箱に近づいてはいけないとおばあさんに注意されるのですが、子供が一人ずつ箱に入ってしまい、いなくなってしまう、というお話です。それに挿絵というか、文章を補完する絵が付いているのですが、凄いです。
箱に入ってしまう子供達と、子供を包み込むような箱の描写が7人の子供それぞれ違う描き方をしていますが、蓋が閉まった後の箱は必ず真っ黒になります。絵の中で黒いのは蓋が閉まった後の箱と年老いたおばあさんだけです。そして最後のページの子供達が行列の最後尾に加わるところと合わせて、何の暗示なのかを想像すると怖いです。
また、蝶番や洗濯物干しなどありふれた物から、人物やその人の人生や特徴を描くシーンが連想されるように描かれるところも、シンプルな絵柄なのに物凄くテクニカルな事がされている、高野文子の漫画だなあと思いました。
高野文子はとにかく寡作で、オリンピックが二回ぐらい開催されても新作が無い時もあるのですが、連載だというのは大感激です。この「モンキービジネス」という雑誌を買っていこうと思います。
ではー。