四畳半神話大系(森見登美彦、角川文庫)
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2008/03/25
- メディア: 文庫
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毎週木曜日の深夜にフジテレビで放送されている*1、「ノイタミナ」という番組があります。30分アニメを二作品放映する番組なのですが、そこで「四畳半神話大系」というアニメが放送されておりました*2。先日から新聞のテレビ欄に載っていた、「四畳半神話大系」という漢字の羅列のインパクトに興味を持っていたので一度見てみることにしたのですが、それで一気にはまりました。ぐっと来た要素としては以下のような点です。
・初見の話が「女の子目当てで大学の宗教系サークルの合宿に行きあわや洗脳されそうになったので慌てて逃げる話(ソフトボールサークル「ほんわか」)」
・主人公の「私」はとにかく文節の区切りもそこそこに喋りつつ続ける(原作の「私」の独白そのまま)
・OPテーマがASIAN KUNG-FU GENERATION(略して『アジカン』)
・アジカンのCDジャケットの素敵イラストで有名な中村佑介がキャラクター原案(つまりあの絵がアニメになっている!)
・ロケ地は京都大学吉田寮
・音楽:大島ミチル
・協力:株式会社はてな
・あとなぜか元クイック・ジャパン編集長の北尾修一もスタッフにクレジットされている
・EDテーマの女性ボーカルと、部屋の間取り図が細胞のように分裂したりくっついたりするアニメーションが素敵
ということで、大学時代に北尾編集長時代のクイック・ジャパンをむさぼり読んで「サブカル的なものに触れている俺は凄い」と思っていた、今振り返るととても痛々しい大学生だった私としては、なんかものすごく琴線に触れたのでした。最近の深夜アニメといったら、ハーレムもの*3の萌え絵のやつばかりだからこれもそうなんだろう、という私の思い込みを見事に裏切ってくれました。素敵。
DVDも出るそうなので、ちょっと購入を検討しています。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2010/08/20
- メディア: DVD
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でもまあ、優先度は「戦国鍋TV」のDVDの方が高くはありますが。
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2010/08/25
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で、前置きが長くなりましたが、興味を持ったので原作の小説も購入して読んでみたのでした。で、驚いたのですが、アニメの話は、必ずしも原作通りではないのですが、原作の雰囲気が損なわれていないように感じるのです。大概の原作つきアニメやドラマ、映画が原作より面白くないものになるのに、「四畳半神話大系」はアニメが原作を超えているように感じました。これは凄い。
また、原作を読んでようやく理解しましたが、大学三年生の「私」が、一年生の時に別のサークルや活動をしていれば今より素敵な学生生活だったに違いない、と考えて、別の選択肢を選んでいたらどうだったかを辿る(時間をさかのぼっているのか妄想なのかはわかりませんが)物語です。4つのサークルや活動をする選択肢を選びますが、結末は大体同じです。さらに言うと始点と終点は同じで、辿る道筋だけが違う4つの話を読んでいる気持ちになります。
このような技法は、ニンテンドー64の名作ソフト「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」を彷彿とさせます。これを小説で表現したのは凄いのではないか、と思いましたが同じ文章を四回読まされているような部分もあったのはちょっと辛かったです。しかしヒロインの明石さんも可愛らしいし、サクッと読めて良かったです。
次は同じ著者の「夜は短し歩けよ乙女」を読んでみたいと思います。
ではー。