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部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

インシテミル(米澤穂信、文春文庫)

インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫)


最近、会社の同期数人(全員男)の中で突如として米澤穂信ブームが起こり、米澤作品の貸し借りが行われております。
中でも人気なのは<<古典部>>シリーズで、「古典部メンバーの中で自分に一番近いキャラは誰か?」「推理力の無い奉太郎じゃね?」みたいな事を飲み会で熱く語ったりしています(全員三十代の男)。楽しいなー。

さて、<<小市民>>シリーズや「さよなら妖精」を貸した代わりに同期から借りたのがインシテミルです。先ほど読み終わったのですが、これは面白かった!<<小市民>>シリーズや<<古典部>>シリーズのような青少年が頑張る「人の死なないミステリー」も良いですが、これは人がバンバン死ぬ本格的なミステリーでした。

「ある人文科学的実験」に参加すれば、時給11万円強という破格の報酬が貰える、という求人がアルバイト雑誌に掲載され、それを見て12人の男女が参加するのですが、なんとその実験は閉鎖空間で殺し合いをして犯人を当てる推理ゲームをしろ、というものでした。

さらに「12人のインディアン人形」とか、ミステリの「十戒」といった、古典ミステリー好きにならわかる(らしい)小道具が出てきて、ミステリーのようなトリック殺人を強制的にしろ、と要求するような環境に登場人物は置かれます。さてどうなる?みたいな。

ミステリーなのでの結末や犯人等のネタバレをしないようにしますが、各登場人物の背景を一部しか敢えて明らかにせず、残りの部分を「きっとこうなんだろうなあ」と想像して楽しむ余地を残してあるのが良かったです。
ただ、おかげで各登場人物の背景とその後が気になって仕方ありません。サイドストーリーや続編としてどこかで描かれると良いなあと思います*1
そして現実にもこの物語で描かれるような「悪意」があるものだろうか、あったら世の中奥深くて恐ろしいなと思いました。

あと、自分の中学校時代にもミステリー好きの友人がいましたが、やはり興味の無い人にとっては「空気の読めないミステリ好き」でしかなく、共通して楽しめるジャンルの小説ではなかったように思います。しかし、この「インシテミル」はミステリーに詳しく無い人にとっても楽しめ、かつ詳しい人はもっと楽しめる、さらに知らない人をミステリーの古典へ誘う仕組みも持っていて、素晴らしいと思いました。機会があれば登場した古典を読んでみたいものです。

なお、先日書いたようにこの作品は今年2010年に映画化されていますが、読了して「この作品を映像化するのは並大抵の事ではない」との思いを強くしましたので、「ホリプロのタレントが沢山出てくる*2」以上の期待は、映画にはしないでおこうと思います。

ではー。

*1:しかしそうすると犯人がバレてしまうか。

*2:伊集院光は出ていないらしいけど