部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

まんが道(藤子不二雄A、中央公論新社)

まんが道 (13) (中公文庫―コミック版)

まんが道 (13) (中公文庫―コミック版)

さてまんが道である。満賀道夫たちも毎日徹夜してるのに勇気付けられていることに驚いたり驚かなかったり。読むたびに発見があるんですよ(綺麗にまとめたつもり)ー。

日本で一番有名な漫画家コンビである*1藤子不二雄の自伝漫画である。名前は満賀道夫(A)と才野茂(F)という風に、実際とは事なるが、他の登場人物は実在の名前である。手塚治虫や、寺田ヒロオ(テラさん)や石森章太郎とか。でも劇河大介は誰だろう*2

さて、自伝漫画だが、物凄く面白い。面白い要素は大雑把に数えて三つほどある。

  1. 満賀と才野が助けあって漫画家を目指してがんばる青春ストーリーとしての面白さ
  2. 気弱なオタクとしての、満賀の心理描写の面白さ
  3. トキワ荘メンバーエピソードの面白さ

である。1.はわかりやすい。お互い富山で生まれ育った二人が小学校で出会い、一緒に漫画家を目指す。手塚治虫という天才の作品と出会い感動する。漫画雑誌を手作りする。漫画を出版社へ持ち込みする。漫画家を目指して上京する。締め切りに追われながらも充実した日々を送る。素晴らしい。夢に向かってがんばる若者の、友情と漫画の物語ですよ。そしてモデルが藤子不二雄だから、「ああ、ドラえもんやブラック商会変奇郎はこの二人が書いたのだなあ」と思いを馳せる事ができる。

2.は少し判りづらいが、かつて伊集院光が自身のラジオ番組で、「出会う女の人の描写が極端に美人であるのは、満賀の童貞ぽさを良く表していて素晴らしい」というような発言していたのがそのままあてはまる。童貞ぽさが素晴らしいのである。会う女の子会う女の子、みんなかわいい*3のである。「自分の事が好きに違いない」という作者の妄想なのではと思ってしまうほど、満賀は綺麗な女性と仲良くなる(が、恋人にはならない)。ここら辺の都合の良さがあっさり描かれているのは、読んでいて黒い笑いがこみ上げて来る。自分自身と照らし合わせて「これは俺だ(七人の侍風に)!」と叫びたくなる。
あと、学校では気弱なのに、母親や弟には強気な内弁慶である事も見逃せない。伊集院光のラジオの熱心なリスナーなら共感できる、オタク男子ぽさが満賀からは溢れている。これが1.の青春ストーリーの合間にごく自然に出てくるから凄いのである。


3.で書いたトキワ荘とは、かつて手塚治虫が住み、その後藤子不二雄、寺田ヒロオ、石森章太郎赤塚不二夫つのだじろう、といった錚々たるメンバーが集まっていた伝説的なアパートである。そこで繰り広げられるエピソードが楽しいのである。
でも面倒なので森安氏の笑い声が「キャバキャバキャバ」なのとテラさんが男らしいという事だけ知っておいていただきたい。赤塚不二夫がまだアル中でなく、つのだじろうも霊の話をしていない時期である。


理系高校生、大学生なら2.の要素がたまらんはずである。あたりまえだが名作なので面白い漫画として楽しむほかに、暗く楽しむ事もできる。なおかつ、友達と一緒に夢を追う素晴らしさも伝わってくる。本当に名作だと思う。

*1:2番目は「ゆでたまご」で、50番目くらいに「[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AB%E3%81%96%E3%81%8B%E3%81%AA:title=にざかな]」がいるのではなかろうか

*2:あと13巻に出てくるUFOと、終わったように見せかけて何事も無かったかのように続く14巻はなんだろう

*3:満賀アイではそう見えたのであろう