部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

ろくでなしBLUES(森田まさのり、集英社)

ろくでなしBLUES (Vol.42) (ジャンプ・コミックス)

ろくでなしBLUES (Vol.42) (ジャンプ・コミックス)

10年以上、漫画の本を毎月数冊は購入している私ですが、そもそもの始まりは中学校時代に同級生が教室に持ってきたうしおととらの面白さに感激して単行本を購入した事でした。中学校2年か3年の頃だったと思います(うしおが獣化して元に戻り、その後獣の槍誕生のエピソードが描かれる一連の流れにやられました)。最初は古本でしたが、確か17巻以降は連載に追いついてしまったので新刊が出次第買っていた気がします。
その後機動警察パトレイバー究極超人あ〜るを購入していましたが、その後に手を出したのが「ろくでなしBLUES」です。数多ある週刊少年ジャンプの作品の中から何故これを選んだのかは忘れましたが、毎週ジャンプを読んでいて楽しみにしていた漫画だった事は確かです*1

吉祥寺にあるという架空の私立高校帝拳高校」に入学した前田 太尊(まえだ たいそん)という男子高校生(とても10代とは思えない言動が多いけど)が主人公です。太尊は入学して早々、二年生や三年生の不良学生に絡まれるも逆にぶっ飛ばして一目置かれる存在になり、子分にしてしまいます*2
不良達は主にボクシング部と応援部の部員たちで、部同士で抗争をしています。色々あって太尊はこの抗争を解決します。

帝拳高校内の抗争が解決した後は、吉祥寺の前田 太尊を含む、「東京四天王」と呼ばれる強い不良学生同士の抗争が繰り広げられます。太尊以外の四天王は、渋谷の鬼塚、浅草の薬師寺、池袋の葛西でした。今でも覚えているぐらい、それぞれ印象的なキャラクターたちでした。

その後は大阪から修学旅行でやってきた不良高校生グループと、太尊達帝拳高校のグループと東京四天王たちが協力してが戦ったりして、「ドラゴンボール」や「魁!!男塾」同様、ジャンプのバトル漫画の伝統的な展開になっていきました。
中学生の私にはそれだけでも大変面白かったのですが、「ろくでなしBLUES」はそれ以外にも以下のような魅力があると思います。

  • 魅力的で格好いい不良達

ランチコートを愛用する鬼塚とか、バンダナをいつもつけているマーシーなど、スタイリッシュで格好良いキャラクターが登場します。「スタイリッシュ」というのは、それまで存在していた不良高校生がケンカし合う漫画(仮に「ヤンキー漫画」と呼ぶ事にします)には無かったと思います。作者が画一的な不良像を描くのではなく、その当時盛り場にいたワル高校生の姿をきちんと描いていたとも言える気がします。

あとスタイリッシュじゃないけど良識があって強い島袋とか、自意識過剰で馬鹿な事ばかりやっているけど意外と子分に慕われていたり、意外と強い中田小兵二、渋谷の鬼塚グループNo.2の上山と死闘を繰り広げる輪島など、列挙しきれないほど魅力的なキャラクターが登場します。あ、あと島袋の後輩の八尋も格好いいんだよなー。あと(以下略)。

  • センスのあるユーモア

池袋の葛西率いるグループに、長淵剛を意識した格好をしている西島というキャラクターがいますが、太尊の仲間たちは「勉三さん」と呼びます。たぶん「キテレツ大百科」の勉三さんからとってるんだと思われますが、このセンスが大変好きでした。シリアスな場面も多々ありますが、途中に大体ギャグ要素があり、それが面白いのが素敵でした。

  • 女の子がかわいい

太尊が惚れているヒロイン格の千秋や、その友達の和美は、当時の風俗を意識した姿で、作品初期の絵を見ると懐かしい感じがしますが、時代が移るに変わってファッションも新しくなっていき、ちゃんとかわいいです*3
また、太尊の先輩の真冬、後輩のひなの、太尊の従妹で小兵二と仲良くなるなど、女性キャラクターも魅力的です。

  • 本格的なボクシング要素

上述のボクシング部、応援部の抗争で、後輩の不祥事の責任を取って停学処分になっていたボクシング部主将の畑中、途中から転校してくるプロボクサーを目指す原田といったボクシングを真面目にやっているキャラクターが登場し、太尊とボクシングで対決します。太尊もプロボクサーを目指して練習する場面もしばしば描かれます。
単行本の何巻目か忘れましたが、作者コメントで「ボクシングのエピソードは評判が悪い」というような事が書いてありましたが、詳しい解説など、これもまた他作品と一線を画していた要素だと思います。

作者は連載当時ザ・ブルーハーツにかなりハマっていたようで、「リンダリンダ」や「英雄にあこがれて」などのブルーハーツの曲がかなり印象的に登場します。特に「英雄にあこがれて」は太尊と後輩のヒロトの決闘の場面で全歌詞を掲載するなど、かなりの入れ込みようが伺えます。
そして、ヒロトマーシーといったブルーハーツのメンバーと同じ名前で風貌もそっくりなキャラクター達も登場し、かなり重要な位置を占めています。本当に好きだったんだなあと思わせます。

以上、良いなあと思える要素を列挙してみました。他にも帝拳高校の教師のエピソードも好きだったりします。マサさんが若い頃オリンピックを諦めるエピソードとか。細かいエピソードも面白いのも魅力だと思います。

という事でバトルだけの一本道だけではない(それも十分面白いのが凄いのですが)、面白い要素が一杯ある漫画で間違いなく名作です。

それにしても超能力や魔法などが登場せず、現実にいそうな不良高校生同士が殴り合う漫画は2012年現在の少年ジャンプにはまったく無くなりました。そういう意味でも今読むととても新鮮です。

ではー。

*1:そして20年経った今も東京の現自宅に全て保存し、時折読み返します。幸せだ。

*2:高校一年生を「前田さん」と慕う高校三年生とか、今思うと凄いと思います

*3:ただ今思うと千秋はウジウジしすぎだと思います。当時はこういうのが良かったのか。