部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

漫画とか合唱とかUNIXとかLinuxとかについて書く日記です。

ケロロ軍曹(吉崎観音、角川書店)

ケロロ軍曹 (1) (角川コミックス・エース)
というわけでケロロ軍曹である。「どうせろくな漫画のない少年エースの漫画だからたいしたことないだろう」という非常に失礼な認識を改めさせてくれた漫画である。

(ちなみにケロロ軍曹を読み出したきっかけで少年エースを読んでみたら「低俗霊DAYDREAM」とか「NHKにようこそ!」等がかなり面白く、今まで敬遠していた事を後悔しております)

かつて藤子・F・不二雄が得意としていた、日常に突然やってくる闖入者によって繰り広げられるSFコメディ(ドラえもんオバケのQ太郎チンプイの事をまどろっこしく言っているだけですが)を明らかに意識しており、中学生男子である主人公の家にやってきたケロロ星の宇宙人(しかも軍人)であるところのケロロ軍曹と仲間たちが、主人公の日常を引っ掻き回す。しかし年末大掃除やお正月など、やっている事は結構普通の年中行事である。むしろそういう日常を大切にしよう、というメッセージが感じられる。こういう思想を感じられるだけでもう、藤子・F・不二雄の後継者とか言いたくなってしまう(たぶん言い過ぎだが)。

それからオタク向け漫画で最近良くある、昔のアニメや漫画ネタのパロディが多用されているのだが、この漫画はパロディのクォリティが高い(というか僕の心の琴線に触れる)のである。

たとえば、単行本の巻末にある「ポールにのって(ポールという友人宅の執事に乗って空を飛ぶという不条理な短編)」は、ドラえもんの単行本の巻末に載っていた「ボールにのって」という短編のパロディだし、まんが道のパロディで「新世紀(ネオンジェネシスと読む)漫画党」も出てくる。ガ一號涙唄は「かまいたちの夜」と「藤子・F・不二雄SF短編集(SFはここでは当然、スコシフシギと読みます)」のパロディである。その他にもドラミちゃん初登場シーンのパロディ(ど、どうしたの?ごろんとのびちゃって)、藤子不二雄のパロディが多い、かつセンスがすばらしいと思う。あんまり読んだ事ないけど同人誌の世界ではこのようなパロディに秀作は多いのかも知れないがどうなんでしょう(答えを期待しない問いかけ)。あとどこからともなく勇壮な宙明節が流れるのはとてもすばらしいと思った。

しかし何よりすばらしいのは、日常生活の大切さを伝えようとしている所である。家族で一緒に過ごすことや、近所のおもちゃ屋さんが閉まってしまうこと、迷子になって泣いているケロロ軍曹が叱られながらも安堵して家に帰るシーンなど、大人が読むと子供時代への憧憬を感じる事が出来る。日常生活や子供時代の楽しかった事を大切にしよう、という事を、マニアックな宇宙人(趣味はガンプラ作り)を通して教えてくれる漫画である。子供向けアニメになっている事も頷ける(もちろん大きいお友達も観るんだけど)。