バカ姉弟(安達哲、講談社)
- 作者: 安達哲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/06
- メディア: コミック
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「バカ姉弟」の5巻がついに先日発売されたので買いました。これで完結ですね。
(2007年4月10日追記:まだ続いているらしいです。今週のヤンマガにバカ姉弟が載ったそうで。)
置いておいた5巻を奥さんが読んだところハマったので、地下に格納してある1〜4巻も地上に持って来ました。川端家で空前の「バカ姉弟」ブームが発生中です。
奥さんいわく
「『お天気お姉さん』や『さくらの唄』を描いていた人がこんな可愛い漫画描いているなんてー」
との事でした。
東京都文京区巣鴨に住んでいる、三歳児の双子である「バカ姉弟」が主人公の漫画です。姉は「おねい」「ねいちゃん」と呼ばれます。弟は「純一郎」ですがあまり呼ばれません。
見たとおりむっすりした顔をしていますが非常に可愛い姉弟が、巣鴨のご近所の大人(おじいちゃん、おばあちゃん含む)に育てられながら成長していくお話です。
バカ姉弟は色々なところに出かけます。築地市場であったり、都内の高級ホテル、銀座の料亭など。親が凄いお金持ちのようですが、ほとんど登場しないので謎です。
出てくる大人たちの造形が非常に細かく、いかにもいそうな感じがします。回りくどく書いていますが「リアリティがある」と言いたいのです。特筆すべき事だと思いますので例に挙げてみます。
何回か登場する悪徳商法のセールスマン(後に普通の会社に勤めますが)は
- 金髪
- ファミレスで雑誌読みながら一人で食事
- 自家用車の後部座席には紙袋やゴミが一杯
という描写です。こういう描写ができる人は実はあまりいない気がします。現代の社会をよく観察していると思います。スーパーマーケットの警備員とかの描写もそうです。
一方高級ホテルや料亭、タイの鉄道、ウィーン楽友協会のホールといった、身近な生活から離れた場所の描写も細かいです。作者は非常に観察力が優れていると思います。
大人の描写がリアルで世知辛い一方、バカ姉弟はそういった大人の世界を超越したところにいるようです。世知辛い論理で生きている大人がバカ姉弟にやり込められる、といった話が多くあるのも、作者の意図を思わせます。根底には、何かあったかい感じ、ヒューマニズムといってもいいかもしれませんが、そういったものがあります。とても良い。
なんというか色々語りたくなる漫画ですが、バカ姉弟が可愛いので、だけでも読めます。大変お勧めです。
ちなみに奥さんは職場(子供と触れ合う職場なので)に持っていって子供に読ませたそうです。結果、子供のお母さんの方がハマッていたそうですけども。いい漫画ですこれ。