部屋を掃除したら漫画が沢山出てきたので書く日記

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福島第一原子力発電所事故への接し方を考えてみました

2011年3月11日に発生した地震を私は仕事で出かけていた江東区有明の国際展示場付近で体験しました。その後りんかい線ゆりかもめ、都バス、および水上バスも止まり、その日はお客様データセンターに泊まり翌日帰宅しました。ちなみに奥さんは足立区から府中へ帰宅を試みましたが中野で立ち往生し帰宅難民として中野サンプラザで一泊しました。とにかく大変でした。

ところで一泊している間、ワンセグでNHK総合を観たりインターネットでtwitterなどで情報収集していましたが、気仙沼市の火災の映像や陸前高田市が壊滅的被害というようなニュースを見て、自分が帰宅難民になっていることもあり、阪神大震災の際には感じなかった、「自分も被災した」という気になったのでした。後日ニュースを見て、東北や関東の他県の被災者の方に比べたら大したこと無かったとは思いましたが、当時は大変深刻な気持ちになったものです。

そして、ようやく帰宅してからテレビでNHK総合を見たら、福島第一原子力発電所が全交流電源喪失で冷却できない等のやばそうなニュースが流れ、そのうち水素爆発が起きて一号機の建屋が骨組みだけになってしまって、解説の大学教授の方とNHK科学文化部の解説員の方が突如焦り出して屋内退避の仕方を急遽説明しだしたのを見て、本当にまずい事になったと焦りました。

その後、2011年4月12日現在に至るまで、みなさんご存知の通り福島第一原子力発電所は放射性物質が漏れてしまって福島県で避難指示とか野菜が売れないとか東京の水が危ないとか魚が売れないとか、大変な事態が長期化してしまいました。

正直言うと私は連日ニュースを見続けるのに途中で疲れてしまったのですが、この事故は解決するまで見届けたいと思っています。なので疲れない範囲NHKのニュースやインターネットの情報に当たっています。

しかしNHKでの原発関連のニュースには、基本的に政府や東京電力の記者会見による報告以上の情報が無いように見えます。
また、新聞は取っていないので各新聞社のホームページ掲載の記事を見ていますが、各新聞社によって独自解釈が加わっているようなので読み物として楽しむ分には良いですが事実関係だけを調べるのには向かないように思えます。

一方地震直後から爆発的にさまざまな情報があふれたインターネット、とりわけtwitterは、海外の機関や報道機関のニュースを紹介していたり、いろんな人の意見が見られて新たな知見が得られた気になりますが、憶測や誤解に基づく情報も一杯で、鵜呑みにしたらまずそうです。

こういう状態で原発事故関連の情報にどうやって接していったら良いかずっと考えておりましたが、なんとなくまとまってきたので整理して書いてみたいと思います。


私は仕事でお客様に納入したITのシステムの開発や構築、保守をしていますが、トラブルが発生して緊急対応することがままあります。
その際にお客様から要求されたりこちらから実施したりする事項がありますが、原子力発電所もシステム工学的には「原子力によって発電して電気を提供するシステム」だと思われますので、今起きているシステムトラブルの対策は同様に行われているのではないかと考えます。なので、「自分がシステムトラブル対応をする時にやる事」を元に考えてみました。
今回、私は問題を解決する立場ではありませんので、情報収集に着目して書いていきたいと思います。

さて、情報収集にあたって必要な事柄としては以下が挙げられると思います。

    • 経緯と現在の状況を把握する
    • システムから出力されるデータを情報源(ソース)とする
    • ソースから収集した情報を元に対策を検討する

以下、個別に解説していきます。

■経緯と現在の状況を把握する
システムトラブル対応での最優先事項は「トラブルの解決」ですが、そのためにはどんな事が起きてしまって今どうなっているのかを把握する必要があります。

Wikipediaで調べてみたら、福島第一原子力発電所事故の経緯という記事が既に出来上がっており、さらに頻繁に更新されていることがわかりました。
Wikipedeia:福島第一原子力発電所事故の経緯


また、この中の「施設の損害状況」という表を見ると、現在の福島第一原発の状況が視覚的にわかります。仕事でもこういう資料があるとお客様の納得度が高いです。

なお、ネットの情報は何を元にこういう記事にしているのか知る(ソースに当たる)のが大変重要です。記事の脚注をたどった結果、日本原子力産業協会という社団法人が
政府緊急対策本部の発表
原子力安全・保安院の発表
東京電力の発表
を元にまとめたPDFファイルがソースである事が判りました。一日二回更新されるようです。
日本原子力産業協会:福島第一原子力発電所の状況


これらを見れば、公式発表された情報を把握できそうです。
また、上記情報はまとまってから更新されるので経緯の確認には良いですが最新情報を把握するのには適しません。そこで、NHKオンラインの「福島第一原発関連ニュース」を眺める事にしています。
NHKオンライン:福島第一原発関連ニュース

上記サイトにて、現在の経緯と最新情報を把握していきたいと考えます。

■システムから出力されるデータを情報源(ソース)とする
システムトラブル対応の情報収集で大事な点は、トラブルを起こしているシステムが発信している情報を知る事です。ITのシステムであればシステムが出力するログファイルやエラーメッセージなどの内部情報、システムが提供するサービスの状況(メールシステムなら『メール送信が出来ない』『メール受信が遅い』とか)などの外部情報などです。これらを元に状況を把握します。
ここで大事なのは、あくまで「システムが直接出力している情報に当たる」という事で、「多分〜です」とか「聴いた話だと〜らしい」という憶測はソースとしてはいけない、という事です。システムの情報が正確に知るためには、システムが出力する各種情報を調べなければいけません。
通常ですとログとかステータス情報を元に概要が判るような仕組みにして監視とかをしますが、トラブル発生中でかつ重大な状態なのであれば、なおさらシステム内部の情報に当たるべきだと考えます。


で、今回の事故で言うと、電力の供給という提供するサービスは止まっていますので外部情報はあまりなさそうです。1号機から4号機の建屋の壊れ方ぐらいでしょうけども、これもテレビや写真からしか判断できず不明瞭な点が多いです。あとは現地での調査*1が必要ですが、今はとても部外者が入れる状態ではありませんので報道機関等に期待したいところです。
次に内部情報としてネットから調べられるのは以下の情報が挙げられます。

  • 放射線量

モニタリングポストやモニタリングカーの計測結果
東日本大震災後の福島第一・第二原子力発電所の状況


当初はPDFのみでしたが、現在はCSVファイルで提供されているようです。
モニタリングポストの場所については
http://www.tepco.co.jp/fukushima1-np/monitoring/monita2.html
も参考になります。
4月12日現在だと1〜4号機への直線距離が比較的近いMP5、MP6、MP7、MP8の値が高いみたいです。

  • 放射線量とか原子炉の詳細情報(プラントパラメータ)

なんと公知の各種情報をグラフ化して公開している素晴らしいサイトがありました。大変な事態が起きた時のITエンジニアかくあるべしという感じです。
全国の放射能濃度一覧
ここでは色々な情報のグラフが見られますが、とりわけ、福島第一原発関連情報としては
原子炉燃料棒の露出度
原子炉の水位
原子炉の温度
原子炉の放射線量
収納容器の圧力
原子炉の圧力
原子炉の復旧状況図
福島第一原発の溜まり水の放射性物質濃度
福島第一原発のプルトニウムの検出状況
などです。何か、「言われているほど情報公開してない訳じゃないじゃん原子力・安全保安院!」と思えます。
ちなみにこれらのグラフの元データは

「地震被害情報」
のページにある「地震被害情報」「モニタリングデータ」および「プラント関連パラメータ」というPDFファイル
が元のデータです。
システムから出力されるデータを情報源(ソース)とするという原則に忠実に従うならば、原子力安全・保安院がこれらの資料を作る際に参照しているデータに当たるべきですが、それは福島第一原子力発電所の各原子炉の中央制御室に行かないと取得できないので、素人の私にはここら辺が限界です。
ただ、NHK初めとしたマスコミ各社も、基本的にはここまでしかデータがなく、これ以上は現地に直接乗り込んで取材しない限り新しい情報は無い筈です。

■ソースから収集した情報を元に対策を検討する
上記で収集した情報を元に、経緯や情報を整理します。そうすると今後やるべき事などが浮かんで来る訳です。が、
やる事:とりあえず冷やし続ける
ぐらいしか思いつきません。
あと、
原子炉については色々考察をしていたのですが、この記事を公開する前にメルトスルーとか色々新しいことが判ってきているのでとりあえず書かないでおきます。
あとは力尽きてしまったので箇条書きです。

  • 問題の解決
    • 解決方法を模索して実施する
    • 解決のための所要期間を見積もり、それに応じて体制を作る
    • 現場で実際に作業を行う作業員の中心人物(キーマン)が作業以外の事物に煩わされないようにする
  • 顧客対応
    • 定期的に作業の進捗を報告する
    • 憶測を報告しない
  • 問題解決後
    • 再発しないか監視する
    • 事象の発生原因を調べて報告する
    • 再発防止策を作り報告する

尻つぼみですが以上です。

ではー。

*1:業界用語で『現調』